ニキビとは
ニキビとは、医学的には「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」と呼ばれ、皮膚の毛穴に炎症を起こす病気のひとつです。皮脂の分泌が盛んになる思春期以降、9割以上の人はニキビを経験しているといわれており、13~18歳ぐらいまでにできるニキビを「思春期ニキビ」、それ以降にできるニキビを「大人ニキビ」と呼んで区別することもあります。大人ニキビは吹き出物とも呼ばれます。
ニキビの症状
ニキビの最初の段階が面ぽう(皮脂が毛穴にたまった状態)です。
皮脂の分泌が活発な部位の皮膚(額や顎、頬、胸や背中など)にポツポツとした膨らみができます。毛穴の先が閉じている面ぽう(白ニキビ)と、開いている面ぽう(黒ニキビ)があります。アクネ菌が面ぽう内で増殖して炎症が起こると、悪化して赤みをもった発疹(赤ニキビ)となったり、膿をもった発疹(膿疱、黄ニキビ)になります。通常はこれらのさまざまな段階のニキビが混じり合ってみられます。さらに炎症が拡大、進行すると、皮膚の下に膿がたまったり、皮膚が硬く盛り上がったようになることもあります。
炎症が長引いたり強かったりする場合、治癒後に凸凹したニキビ跡が皮膚に残ります。
ニキビの原因
ニキビには種類が様々あり、原因や治療方法も異なります。
白ニキビ
白ニキビは、何らかの原因で毛穴が詰まり皮脂が毛穴内に滞留する状態を言います。
大きく2つの原因で生じます。そのひとつはターンオーバーの乱れです。化粧をしたまま寝てしまったり、お肌のケアを怠ったりすると、お肌のターンオーバーが乱れ、古くなった角質が剥がれ落ちにくくなります。また、毛穴の周囲の汚れと共に毛穴を塞ぐことでその毛穴から分泌される皮脂と反応してコメドを形成します。この状態が白ニキビです。
もうひとつは皮脂の過剰分泌です。前述の原因で皮脂が正常に毛穴の外に出にくくなっている状態で過剰に分泌すると、当然毛穴内に溜まりやすくなります。
黒ニキビ
白ニキビが酸化した状態を黒ニキビといいます。
毛穴につまった皮脂が表面に出て、空気に触れて酸化し、黒っぽく見えることから黒ニキビとよばれます。白ニキビと同様、放置しておくと炎症を起こすことがあるので注意が必要です。
ホルモンバランスの乱れや、油分の多い化粧品やクリームが原因となっていることもあります。
赤ニキビ
炎症が起こってしまったニキビは赤ニキビといいます。
赤ニキビの炎症は、アクネ菌によって引き起こされます。
アクネ菌は、正常な肌にもいるもので、空気に触れている分には何も起こりません。しかし、空気に触れなくなってしまった密閉された空間では、一気に増殖するという性質があります。
皮脂がたまってしまった毛穴というのは、たとえ毛穴が開いても、皮脂が詰まっているので、空気に触れにくくなっています。そのため、「アクネ菌」をはじめとする細菌の温床になってしまいます。
さらに、毛穴に溜まってしまった皮脂がどんどん腐ります。増殖されたアクネ菌と結びつくことで、炎症の元となる物質ができてしまい、吹き出物のように赤くなってしまいます。
黄ニキビ
黄ニキビは、ニキビの中でももっとも深刻な症状です。炎症が化膿し、黄色い膿が溜まってしまうことから黄ニキビと言われています。
ニキビを治すために、膿を取り出さなければいけないので、治療に痛みが伴う場合があります。また、黄ニキビになってしまうと、症状の進行度や治療の影響が原因で、ニキビが改善されてもクレーターのような跡が残ってしまうことがあります。
黄ニキビになる前に、一刻でも早く完治させることが重要です。
ニキビの治療法
病院でニキビの治療を受ける場合、主に以下のような方法があります。具体的にどの方法を用いて治療するかは、ニキビの様子や状態によって異なります。
外用薬(塗り薬)
ニキビ治療における塗り薬は、炎症を抑える成分や抗菌作用のある成分が含まれたものと角質を柔らかくして毛穴詰まりを抑える薬を併用することが多いです。
最近では殺菌力と皮脂の過剰分泌を抑える効果があり、それと共に角質を取り除く効果も持っている塗り薬が多く使われています。
内服薬(飲み薬)
飲み薬では主に抗菌薬として、アクネ菌を抑える効果が期待できる薬剤が使用されます。そのほか、皮脂の分泌を抑えるビタミン剤、炎症を抑える薬などが処方されることもあります。また、ニキビができやすい体質の改善を目的として漢方薬を用いることもあります。しかし、漢方は種類が多いため、医師と相談の上で合うものを選びましょう。
当院でのニキビ治療
- スキンケア(洗浄、保湿)
- 外用:アダパレン、過酸化ベンゾイル、抗生剤外用薬、イオウ、抗寄生虫薬
- 内服:ビタミン剤、抗生剤、漢方薬
- 局所処置:注射(ステロイド)、圧出
- 内服:イソトレチノイン
基本は、毛穴の角質や詰まった皮脂を取り除くことと、原因菌であるアクネ菌に対する治療で、主に外用薬(塗り薬)と内服薬(飲み薬)で治療を行っていきます。
通常は数か月から1年で改善し治癒します。ただし、維持するためのお薬をやめたり、スキンケアを怠ったり、ライフスタイルの変化、ストレスや偏食、ホルモンバランスの乱れなどで再燃することもあります。
嚢腫・硬結や炎症が強い場合はステロイド局所注射を行うこともあります。
ニキビの標準的な治療方法は保険適用となります。
ピーリング石鹸(スキンピールバー)
ピーリング石鹸(スキンピールバー)を販売しています。ご自宅での古い角質の除去を毎日の洗顔で行っていただけるスキンケア商品です。肌質に合ったものを選べるように小さな石鹸もご用意していますので、お気軽にスタッフにお尋ねください。
イソトレチノインの内服
当院では、難治性重症のニキビにイソトレチノインの内服加療も対応しております(自費診療)。
膿疱や嚢腫が多数できる重症のニキビにも効果のあるお薬です。医師の診断のもと、適応があり、定期通院が可能で、正しくご理解いただける方と判断された場合に処方することができます。これまで何をやっても治らなかったという重症のニキビの方はご相談ください。(軽症の方に安易に処方するお薬ではございませんのでご了承ください。症状が軽い方は一般の保険診療からの治療となります)
ニキビダニの治療について
なお、難治性のニキビの中には、ニキビダニ(デモデックス)が関連した毛包虫ざ瘡という病状があります。ニキビダニの検査をしたうえで、加療をします。
イオウカンフルローションが有効です。ステロイドの誤った外用で悪化しているケースが多く注意が必要です。
抗寄生虫薬であるロゼックスゲルの外用治療も有効です。