円形脱毛症とは

「円形脱毛症」とは、脱毛が突然生じる疾患です。一般的には10円玉くらいの円形や楕円形の脱毛と思われがちですが、頭部全体に広がるものや、頭髪以外の眉毛やまつ毛、体毛などに及ぶ重度のものまで症状は様々です。

円形脱毛症の症状

円形から斑状の脱毛斑が単発または複数生じます。通常自覚症状はありませんが、脱毛する前に軽い痒みや違和感を伴うことがあります。

男女差はほとんどなく、比較的20~30代の若い世代に多い傾向があります。

円形脱毛症の原因

円形脱毛症の原因には様々な説がありますが、免疫系が発毛組織を攻撃してしまう「自己免疫疾患」であると考えられています。そのほかにはアトピー性疾患、精神的ストレス、産後の女性ホルモン値の変化、遺伝的要因なども影響しているとされています

特に、円形脱毛症の患者の多くがアトピー性疾患やその素因を持つといわれており、こちらも深い関連があると考えられています。

円形脱毛症の治療法

光線療法

皮下の免疫状態を改善するので円形脱毛症にも効果が期待できると考えられており、ナローバンド UVB照射療法やエキシマレーザー/ライト照射療法と呼ばれる非常に狭い波長の紫外線が用いられることが多くなっています。これまでの紫外線照射機と比べ、効果が優れており、発がん性も少ないとされています。

外用薬

円形脱毛症の発症初期で、脱毛斑が小さい場合は以下の外用薬を処方します。
ステロイド外用薬、ミノキシジル外用、塩化カルプロニウム外用など

内服療法

比較的軽症で、活動性がある脱毛症にはセファランチン内服薬を行います。

局所注射

脱毛範囲は広くないものの、脱毛斑が固定して活動性がない場合には、ステロイドの局所注射を行います。月1回程度の注射を行い、他の治療法と並行して治療をしていきます。

ステロイド内服

激しい脱毛症状がある場合は、ステロイドの飲み薬や大きな施設へ入院し点滴による治療を行うこともあります。

局所免疫療法

脱毛斑が固定して反応が見られない難治性の場合には、局所に強いかぶれをおこすSADBE(squaric acid dibutylester)を用いた免疫療法を行うことがありますが、医薬品ではなく、本邦では今のところ保険適応はありません。