白斑(尋常性白斑)とは
白斑の中で特に代表的なものは「尋常性白斑(じんじょうはくはん)」と呼ばれ、皮膚の一部が脱色されたように白く抜けてだんだん大きくなってしまう疾患です。
尋常性白斑は、ある特定の神経の支配領域(分節)に沿って白斑があらわれる「分節型」、神経の支配領域と関係なく症状が表れる「非分節型」、そして稀ではありますが両型のそれぞれの特性を持つ白斑が表れる「混合型」に分類されます。
白斑(尋常性白斑)の症状
尋常性白斑は、皮膚のメラニン色素を作っている細胞(メラノサイト)が減少・消失することなどによって皮膚の色が白く抜けていき、毛のある部分に症状が出ると白毛化が起こることもあります。人口の1%近くにみられるといわれ、さまざまな年齢にさまざまな大きさで後天的に発症します。
境界がはっきりした白斑が1~2個生じる人もいれば、体の広範囲にわたって生じる人もいます。
白斑(尋常性白斑)の原因
現在のところはっきりとした原因は分かっていませんが、尋常性白斑では「分節型」、「非分節型」でそれぞれ発症原因が異なると考えられています。
「分節型」では、特定の神経の支配領域(分節)に沿って白斑があらわれることから、自律神経系の異常が発症の要因となっているのではないかと推測されています。自律神経系の何らかの異常によって、メラニン色素を作っている細胞(メラノサイト)が正常に活動する環境が維持されなくなり、その結果メラノサイトが減少・消失するのではないかと考えられています。
「非分節型」の場合には自己免疫疾患が原因になるのではないかと考えられています。しかしながら詳細は明らかになっておらず、免疫系の異常のみが原因で引き起こされているのか、さまざまな要因が合わさった複雑な病態になっているのかについてはまだわかっていません。
どちらも原因を明らかにするための研究が続けられています。
白斑(尋常性白斑)の治療
外用薬
外用薬は効果が弱いものの、ほとんど副作用がありません。そのため軽症の方から重症の方まで用いられます。ステロイドの外用薬、免疫抑制剤(プロトピック)、ビタミンD3外用薬などを用います。
光線療法
尋常性白斑の治療として近年ではナローバンドUVB 照射療法やエキシマレーザー/ライト照射療法と呼ばれる非常に狭い波長の紫外線が用いられることが多くなっています。これまでの紫外線照射機と比べ、効果が優れており、発がん性も少ないとされています。
内服薬
急速な進行例に対してステロイド内服、免疫抑制薬等が使用されることがあります。
外科療法
他の治療であまり効果が見られず、積極的な治療を希望される方で、少なくとも1年以上変化がない症例に対して植皮・外科手術などがおすすめです。当院では施行していないため、近隣の大病院へご紹介させていただきます。